ドクターコムによる遠隔医療の取り組みとそのメリットを紹介します。
遠隔治療で離島や山間部の在宅看護もスムーズに
瀬戸内海に24もの有人離島が浮かび、山間部には過疎地域が多く見られる香川県。
交通アクセスや地理的なことからも医療体制は脆弱なため、
県はパソコンのテレビ会議システムを用いた遠隔医療を独自に開発し、導入しました。
テレビ会議システム「ドクターコム」は、医師が病院にいながらにして在宅患者の診療を行えるもので、ドクターコムではウェブカメラ付きのノートパソコンを使用することにより、画面越しに医師と在宅中の患者、患者のもとを訪問している看護師が連携し、患部や電子カルテを映すことも可能となっています。
寝たきりの高齢者や難病患者の在宅医療では、医師が診療に出向くのは月に2~3回程度という場合がほとんど。
医師訪問の合間に看護師が定期的に患者のもとを訪れ、状態を確認していますが、医師法では看護師が患部などを処置する直接医療行為を行うには一旦病院に戻って、医師の指示を仰がなければならないのです。
医師法に則って離島や山間部でこれを実行すれば、患者にも看護師にも負担がかかることになり、医療行為としても効率が悪いのは明白でした。
ドクターコムの導入によってこの効率の悪さは打破され、
看護師がパソコンを通じて医師の指示を聞きながら採血や超音波検査もできるようになったのです。
また、以前よりも多くの患者を一度に訪問できるようになったのもメリットのひとつ。
さらに、ドクターコムに関しては医師不足や看護師不足、医療格差問題への対策としてだけでなく、他の用途へも広がりを見せているようですね。
病院と患者のコミュニケーション向上やコストの削減が大きな目的だったドクターコムは、医師が現場に行くことが困難な、大災害時の遠隔医療機器としても期待できることがしだいに明らかになっています。
実際に東日本大震災後の被災地でもドクターコムは活躍したそうです。